社内起業を実現する5つのステップと成功事例5選!メリットや注意点も解説

社内起業(社内ベンチャー)は、企業内で新しい事業を立ち上げる取り組みです。この記事では、社内起業を成功させるための具体的な5つのステップと、社内起業のメリット・デメリットついて社内起業制度を作る側の立場と、社内起業家の立場からそれぞれ詳しく解説します。また、実際に社内起業に成功した事例を10個ほど取り上げながら、成功するための共通点に関しても解説していきます。

ゆう(起業家)

本記事では、社内起業の制度を設ける経営者側のメリットだけではなく、社内起業家(イントレプレナー)にとってのメリットも解説していくよ!

目次

社内起業とは?

社内起業と子会社の違い

社内起業とは、企業内で新しい事業を立ち上げる取り組みのことです。子会社と異なり、既存の企業文化やリソースを活用できる点が特徴です。社内起業は、既存の事業とは異なる新しいアイデアや技術を取り入れ、新たな市場を開拓したり、既存事業の強化を図ったりすることを目的としています。子会社は、親会社から独立した別会社として設立され、独自の経営判断を行い、責任を負います。一方、社内起業は、親会社の一部として設立され、親会社の経営方針や資源を活用しながら事業を進めます。そのため、社内起業は、子会社に比べて、初期投資やリスクが低く、迅速な意思決定や行動が可能であるというメリットがあります。しかし、社内起業は、親会社の既存の組織や文化に縛られる可能性があり、自由な発想や行動が制限される場合もあります。

イントレプレナー(社内起業家)の役割

イントレプレナー(社内起業家)は、社内で新しい事業を推進するリーダーです。強力なビジョンとリーダーシップが求められます。イントレプレナーは、新しい事業アイデアを創出し、それを実現するために必要な資源を調達し、チームを組織し、事業を推進していく役割を担います。そのため、イントレプレナーには、高いコミュニケーション能力、交渉力、リーダーシップ、そしてリスクテイク能力が求められます。また、イントレプレナーは、社内外の様々な関係者と連携し、事業を成功に導くためのネットワークを構築する必要もあります。

経営者目線での社内起業のメリット:なぜ社内起業制度をつくるのか

従業員のチャレンジ精神を育む:成功へのステップ

社内起業は、従業員が積極的に新しいことにチャレンジする環境を提供します。これにより、企業全体のダイナミズムが向上します。社内起業は、従業員に新しい事業を立ち上げる機会を提供することで、彼らの潜在能力を引き出し、成長を促します。従業員は、新しい事業に挑戦することで、自分の能力やアイデアを試すことができ、自己成長を実感することができます。また、社内起業を通じて、従業員は、新しい知識やスキルを習得し、自分のキャリアパスを広げることができます。さらに、社内起業は、従業員に企業へのエンゲージメントを高める効果もあります。従業員は、自分のアイデアが実現する喜びや、新しい事業の成功に貢献できる達成感を味わうことで、企業への愛着や帰属意識を高めることができます。

人材育成と潜在能力の引き出し:未来のリーダーを育てる

社内起業を通じて、従業員の潜在能力を引き出し、人材育成を進めることができます。これにより、将来的なリーダーを育成する基盤が整います。社内起業は、従業員にリーダーシップやマネジメントスキルを磨く機会を提供します。新しい事業を立ち上げるには、チームを組織し、メンバーを導き、目標達成に向けて努力する必要があります。この過程を通じて、従業員は、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決能力、意思決定能力などを習得することができます。また、社内起業は、従業員に新しい視点や発想を学ぶ機会を提供します。新しい事業を立ち上げるには、既存の枠にとらわれず、新しいアイデアや技術を取り入れる必要があります。この過程を通じて、従業員は、創造性、柔軟性、適応能力などを高めることができます。

利益拡大の可能性:新たな収益源の創出

新しい事業が成功すれば、企業の利益拡大につながります。これは社内起業の大きな目的の一つです。社内起業は、企業にとって新たな収益源を生み出す可能性を秘めています。新しい事業が成功すれば、企業は、売上増加、利益拡大、市場シェア拡大などのメリットを得ることができます。また、社内起業は、企業の競争力を強化する効果もあります。新しい事業を立ち上げることで、企業は、新たな技術やサービスを開発し、顧客ニーズに対応することができます。これにより、企業は、競合他社との差別化を図り、市場での優位性を築くことができます。

ゆう(起業家)

経営者視点でいえば、社内起業の制度をつくることで次世代のリーダーを生み出すことにつながったり、事業が上手くいけば会社に利益をもたらしたりと様々なメリットがあるね。ただ、ここからはデメリットもあるよ。

社内起業制度をつくることによるデメリットがある

失敗時の損失

新しい事業が失敗した場合、企業はその損失を負うことになります。これは社内起業の大きなリスクの一つです。社内起業は、既存事業とは異なる新しい事業を立ち上げるため、成功するかどうかは不確実です。新しい事業が失敗した場合、企業は、投資した資金や人材を失う可能性があります。また、社内起業の失敗は、企業の評判や信用を傷つける可能性もあります。そのため、社内起業を行う際には、リスクを最小限に抑えるための対策を講じる必要があります。

人材の分散

優秀な人材が既存の事業から新しい事業に移ることで、既存事業が手薄になるリスクもあります。社内起業は、新しい事業を立ち上げるために、既存事業から人材を移す必要があります。しかし、優秀な人材が既存事業から新しい事業に移ることで、既存事業が手薄になる可能性があります。また、社内起業に人材が集中することで、既存事業のモチベーションが低下する可能性もあります。そのため、社内起業を行う際には、人材のバランスを考慮し、既存事業への影響を最小限に抑える必要があります。

社内起業家目線での社内起業のメリット:なぜ社内制度を活用して起業するのか

自己実現とキャリアアップ:成功への挑戦

社内起業家にとって、社内起業は自己実現とキャリアアップの絶好の機会です。新しい事業を立ち上げることで、自分のアイデアやビジョンを形にすることができ、個人的な達成感を得られます。この挑戦を通じて、社内起業家は新しいスキルや知識を身につけ、自分の市場価値を高めることができます。社内起業家として成功することは、将来のキャリアパスにおいて大きなステップアップとなり、リーダーシップや管理職への道を開く可能性が高まります。

創造性と革新の追求:新しいアイデアを形にする

社内起業は、創造性と革新を追求する場です。社内起業家は、自分の発想を実現するために必要なリソースやサポートを得ることができます。これにより、新しい商品やサービスを開発し、従来のビジネスモデルに変革をもたらすことが可能です。また、社内起業の過程で得られる経験や知識は、他の業務にも応用でき、従業員の全体的なパフォーマンス向上にも寄与します。

社内ネットワークの強化:人脈と協力の拡大

社内起業を通じて、社内起業家は社内のネットワークを強化し、異なる部署や職務の同僚と協力する機会を得ます。新しいプロジェクトを推進するために、多様なバックグラウンドを持つ人々と連携することで、より広範な視点やアイデアを取り入れることができます。これにより、社内起業家は人脈を広げ、企業内での存在感を高めることができます。また、こうした協力関係は、将来的なプロジェクトやキャリアの進展にも大いに役立つでしょう。

企業への貢献と影響力の向上:成果を生み出す

社内起業家は、企業の成長に直接貢献できる立場にあります。成功した新事業は企業にとって重要な収益源となり、従業員自身もその成果を誇りに感じることができます。さらに、自分の努力が企業全体に与える影響を実感することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上します。社内起業家としての成功は、企業内での影響力を高め、さらなるキャリアの機会を広げる鍵となります。

ゆう(起業家)

社内起業家にとってもたくさんのメリットがあるね。ただ、当然デメリットもあるからそちらも併せて説明していきます。

社内起業家は次のデメリットを把握しておこう

制約と自由の制限:独立起業との違い

社内起業制度を利用する際、起業家は企業のルールや方針に従わなければならないため、独立した起業に比べて自由度が制限されることがあります。企業の利益や戦略と一致しない場合、自分のアイデアやプロジェクトが制約を受ける可能性があります。この制約が、創造性や革新を追求する上での妨げとなることがあります。

収益の分配:利益の完全享受が難しい

社内起業制度では、新しい事業が成功してもその収益は企業全体のものとなり、起業家自身がその全てを享受することはできません。従って、独立して起業した場合に比べ、経済的なリターンが限定されることがあります。企業内での評価や報酬制度はありますが、独自に事業を展開して得られる利益とは異なる場合が多いです。

リソースの競合:社内資源の制約

社内起業では、既存の部門やプロジェクトとリソースを競合することがしばしばあります。人材、資金、設備などのリソースを巡る競争が激しく、新しいプロジェクトが十分な支援を受けられない場合があります。このリソースの制約は、プロジェクトの進行や成功に対して大きなハードルとなります。

成功へのプレッシャー:失敗のリスク

社内起業は、成功を期待される一方で、失敗した場合のリスクも存在します。企業の一部としてのプロジェクトが失敗した場合、その影響は個人だけでなく、企業全体に及ぶことがあります。このため、失敗へのプレッシャーが大きくなり、リスクを取ることに対する慎重さが増すことがあります。

社内政治と人間関係:複雑な内部ダイナミクス

社内起業制度では、社内政治や人間関係が複雑になることがあります。新しいプロジェクトの成功が他の部門や従業員に影響を与えることがあり、内部の対立や摩擦が生じることがあります。これにより、プロジェクトの進行が妨げられることもあり、社内での調整や交渉が必要になる場合が多いです。

ゆう(起業家)

社内起業に拘らないなら、独立起業という方法もあります!気になった方は下の記事を確認してみよう。

社内起業家目線での、社内起業を実現するまでの5ステップ!

ステップ1:アイデアの構築と市場調査

アイデアの発掘

社内起業の第一歩は、革新的で実現可能なアイデアを見つけることです。市場のニーズやトレンドを調査し、自分の経験やスキルを活かせる分野で新しいビジネスモデルを考えます。以下の方法でアイデアを発掘します。

  • 業界の課題や問題点を洗い出す
  • 新技術やトレンドをリサーチする
  • 顧客からのフィードバックを分析する

市場調査の実施

見つけたアイデアが市場で受け入れられるかを確認するため、市場調査を行います。競合他社の分析、ターゲット顧客のニーズ、市場規模などを詳細に調査し、アイデアの実現可能性を評価します。

  • 競合分析
  • 顧客インタビュー
  • 市場規模の把握

ステップ2:ビジネスモデルの設計

ビジネスプランの作成

次に、アイデアを具体化するためのビジネスプランを作成します。このプランには、製品やサービスの概要、収益モデル、マーケティング戦略、リソース計画などが含まれます。

  • 製品・サービスの特徴
  • 収益モデルの設計
  • マーケティング戦略の立案

リソースの確保

ビジネスを成功させるためには、必要なリソース(人材、資金、技術)を確保することが重要です。社内外のリソースを活用し、プロジェクトの実現に向けて準備を進めます。

  • 人材の配置
  • 資金調達の計画
  • 技術・インフラの整備

ステップ3:プロジェクトの承認と支援の獲得

社内での承認を得る

社内起業のプロジェクトを進めるためには、上層部や関連部署からの承認と支援を得る必要があります。ビジネスプランをプレゼンテーションし、プロジェクトのメリットやリスクを説明します。

  • プレゼンテーションの準備
  • 承認プロセスの理解
  • メリットとリスクの説明

支援体制の構築

プロジェクトを円滑に進めるため、社内外の支援体制を構築します。メンターやアドバイザーを見つけ、プロジェクトの成功に向けてサポートを得ることが重要です。

  • メンター・アドバイザーの選定
  • 支援体制の確立
  • 定期的なフィードバックの受け取り

ステップ4:プロジェクトの実行と管理

プロジェクトの実行

承認を得た後、ビジネスプランに基づいてプロジェクトを実行します。計画通りに進めるために、タスクの管理と進捗状況の確認を行います。

  • タスクの分担
  • スケジュール管理
  • 進捗状況のモニタリング

問題解決と改善

プロジェクト実行中には、様々な問題が発生することが予想されます。迅速に問題を解決し、必要に応じてプランを改善していくことが重要です。

  • 問題発見と解決
  • プランの見直し
  • 継続的な改善

ステップ5:成果の評価と次のステップ

成果の評価

プロジェクト終了後、成果を評価し、目標達成度を確認します。成功した点と改善が必要な点を明確にし、次のステップに繋げます。

  • 成果の測定
  • 評価基準の設定
  • 成果報告

次のステップの計画

成果を元に、次のステップを計画します。さらなるビジネス展開や新しいプロジェクトの開始など、持続的な成長を目指して戦略を立てます。

  • 新しいビジネス展開の計画
  • 継続的な成長戦略
  • 次のプロジェクトの準備

社内起業を成功させるためには、これらのステップを着実に踏み、綿密な計画と実行力が求められます。ビジネス環境や市場の変化に柔軟に対応しながら、目標達成に向けて努力を続けましょう。

社内起業の成功例5選!

無印良品の成功例

社内起業の一例としてよく知られているのが無印良品です。彼らの成功の背景には、強力なビジョンとチームの努力がありました。無印良品は、1980年に西友の社内起業として誕生しました。当時の西友は、低価格路線で成功していましたが、顧客層の拡大を目指し、新しいブランドの立ち上げを検討していました。無印良品は、シンプルで機能的な商品を低価格で提供するというコンセプトで、新たな顧客層を獲得することに成功しました。無印良品の成功は、社内起業が既存事業の枠にとらわれず、新たな市場を開拓できることを証明しています。

スタディサプリの成功例

スタディサプリは教育分野での革新的なサービスとして注目されています。この成功例も社内起業の成果の一つです。スタディサプリは、2011年にリクルートの社内起業として誕生しました。当時のリクルートは、人材紹介や求人情報サービスなどを提供していましたが、新しい事業分野への進出を検討していました。スタディサプリは、オンライン学習サービスという新しいビジネスモデルで、教育分野に参入することに成功しました。スタディサプリの成功は、社内起業が既存事業とは異なる新しいビジネスモデルを創出し、新たな市場を開拓できることを証明しています。

サイバーエージェントの成功例

    サイバーエージェントの社内ベンチャー制度「CAJJプログラム」から生まれた株式会社CyberZは、2009年に設立された比較的新しい成功事例です。CyberZは、スマートフォンに特化した広告を提供する事業からスタートし、近年ではeスポーツ大会運営やゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」など、時代の変化に応じた事業を展開しています

    リクルートの成功例

    リクルートの社内ベンチャー制度「New RING」から生まれた「ホットペッパー」は、食・美容の情報を扱うサービスとして成功を収めています。具体的な設立年は明記されていませんが、リクルートの現在の主要事業の一つとなっており、社内ベンチャーの成功例として挙げられています。

    三菱商事の成功例

    三菱商事の社内ベンチャー第1号として1999年に誕生した「スープストックトーキョー」は、2015年には70店舗を超え、2016年には分社化して株式会社スープストックトーキョーを設立しました。創業者の遠山正道氏は、ペルソナマーケティングの手法を用いて事業計画を策定し、成功を収めました

    まとめ

    社内起業は大きな可能性を秘めていますが、同時にリスクも伴います。成功するためには、明確なゴール設定、独立した組織の設立、そしてしっかりとしたセーフティーネットの準備が必要です。これらのステップを踏むことで、社内起業を成功に導くことができるでしょう。社内起業は、企業にとって新たな収益源を生み出し、競争力を強化する効果があります。しかし、社内起業は、リスクも伴うため、慎重な計画と準備が必要です。明確なゴール設定、独立した組織の設立、セーフティーネットの準備など、成功のためのステップを踏むことで、社内起業を成功に導くことができます。

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